Activisionより販売されているFPSゲームのSingularityをクリア。
ホラーよりのスポーツFPS。おどろおどろしいゲームではなくクリーチャーを
急に登場させてビックリさせるような演出をしてくる。
このレビューを書いている時点では日本語化は無し。
日本語化ができないのに加え、字幕表示もできないためにリスニングで英語
を理解できる人じゃないと話はわからない。
インストール後にゲームが起動しない問題があるが、再起動する又はPhysXを
インストールすれば起動すると思う。特にRadeonのVGAを使用している人は
PhysXをインストールしていない人もいると思うので注意。
Windows7 64bitにて上記方法で起動できた。Windows 8.1も起動可能な模様。Windows10については不明。
https://steamcommunity.com/app/42670/discussions/0/558754899890299731/
ストーリー
スターリン時代のソ連はカムチャッカ半島南西にある架空の島でE99という新
物質を発見。この物質に有用性を見出したソ連はその島にバリソフ博士を長と
した研究・開発施設のKatorga12を開設させる。しかし、1955年にその施設に
て特異点(バリソフ反応炉)の爆発による大規模な事故が発生する。島内での
生存者が確認できずソ連は島自体を封印する。2010年にアメリカのスパイ衛星
がこの島の上空を通った際に高い放射線により観測できないことを不審に思っ
たアメリカ軍が極秘に偵察を行う。
主人公はこの島への偵察任務として派遣された一員であるレンコ大尉。偵察任
務中にKatorga12の研究施設の内部でE99の影響により2010年から特異点の爆
発前にあった1955年の研究施設の火災へタイムリープしてしまう。過去にて火
災の中で死ぬはずだったデミチェフ博士を助けることにより過去を改変した結
果パラドックスが発生。生き延びたデミチェフはE99の技術開発をより強く推
し進める。その結果、研究の規模が大きくなり様々な技術が開発されることに
なり、特異点の爆発が発生するも、軍事転用されたE99の兵器を背景にデミチ
ェフがソ連及び世界政府の最高指導者となっていた。
デミチェフはバリソフが開発しデミチェフの手に渡らないように隠蔽していた
E99を使用した時空操作能力を有すデバイスであるTMDを捜し求めており、
Katorga12に居合わせたレンコを拘束。拘束されているところをデミチェフが
力を得た背景を探っているレジスタンス組織 MIR 12のキャスリンに助けられ
る。TMDを求めレンコを狙ってくるソ連軍と特異点の爆発事故により発生し
た放射線とE99溶液の影響により人がクリーチャー化して徘徊する島内をキャ
スリンとともに特異点の爆発原因調査・デミチェフの背後の調査・タイムパラ
ドクスの解消のために行動する、という話。
ゲームの雰囲気としてはこのプレイした人が感じるところだと思うが、Biosho
ckのような雰囲気。全体的に暗めでやや閉塞感がある。
上にも書いたがホラーよりの演出が出てくる。特に敵を急に登場させてプレイ
ヤーをびっくりさせる演出と過去の出来事を追体験させるような演出がなされ
る。
過去を追体験させる演出についてはホラーゲームの雰囲気を形作ることに寄与
しているのではなく、真相を知る手掛かりだったり、この後出現する敵を示唆
する演出が多い。
プレイヤーをビックリさせる演出は進めていくと演出を挟んでくるタイミング
がわかるようになり驚きにくくなることと、開始当初の武器がない時期と装備
がハンドガンのみの時期には対抗手段が乏しいために、何が出てくるかわから
ない不安があるが、後半は主人公の能力や銃火器の能力がアップすることに比
例してクリーチャーの脅威が弱まるため、ホラー要素がかなり薄くなる。
このゲームの特色は序盤で手に入るTMDにある。TMDは時空に干渉して、操
作する能力等を持っているアイテム。ゲームが進行するにつれマップ内にTM
Dをアップグレードする機械が出現し、それを使用することでTMDに様々な能
力が付与されていく。
ゲーム内でTMD取得時に使用できる能力は
・物体に流れる時間を戻したり、早くしたりする能力
・衝撃波を放つ能力
・進行ルートを表示する能力
・時の裂け目をプレイヤーが通れるように拡大する能力
の四能力。これに加えてアップグレードしていくことで
・重力制御能力
・一定空間の時間を遅くする能力
・敵をクリーチャーに変異させる能力
が付与される。これらの能力を使って簡単なパズル要素も出現する。
さらに衝撃波と時間を遅延させる能力はマップ内に配置されているレンコの
能力の取得・強化もできるAugmentにて強化することができる。
身体能力強化及びTMD能力強化をするにはマップ各所に落ちているE99を収集
し、各能力の強化に応じて必要なE99を消費しなければならない。さらに、一
部の能力はマップに落ちている設計図を取得する必要がある。設計図を取得す
ることで強化できる能力は強力なものが多く、ときにはゲーム難易度を大幅に
変化させるようなものもある。
ちなみにこれらの設計図は見逃したとしても別の場所で入手できるようになっ
ている。
武器についてはSingulsrityの世界ではE99を利用した兵器が主流で、E99の弾を
使用しているが一般的な火器と変わらない通常兵器とE99の特性を活かした特
殊兵器の二種類に大別され、通常兵器は下記の七種類。
・Centurion Pistol:ハンドガン。最初に手に入る武器で威力はまずまずも、所
持弾数が少なく、連射ができず、レンジも狭い。HS前提の射撃が求められる。
縛りじゃない限り序盤しか使わない。
・AR9 Valkyrie Assault Rifle:アサルトライフル。無改造は威力が低いが、弾
数が多く、連射ができ、中距離まで対応している。ただし遠距離は威力が大
幅に減衰する。ダメージを中心に改造すれば主力となる。対人で最も使いや
すい武器。ソ連軍を倒せば弾薬が簡単に補充できるのも大きい。
・Volk S4 Shotgun:ショットガン。対クリーチャーの主力武器。弾数はそこ
そこ、連射もまずまず、レンジは近距離。ダメージを中心に全体的に改造
すれば対クリーチャーで活躍する。
・Autocannon:ガトリングガン。弾数が多く、連射も出来るが、近距離専門。
入手できるのは中盤以降で、敵が使用していたのを拾って使う形になる。
改造しなくても充分強い。
・Spikeshot:レールガン。弾数は少なく、溜めが必要なので連射はできない
が、威力・レンジは申し分ない。ただ弾薬入手が難しいのと、入手時点で
は他の武器を改造しているので出番は少ない。
・Kasimov SNV-E99 Sniper Rifle:狙撃用ライフル。弾数が極小、威力が高
く、中・遠距離専用。スコープを覗いてる際にはスローモーのような能力
を使用できる。ただしゲーム内の戦闘は近・中距離が中心なため使用機会
が少ない。必要なときにスポットで拾って使うことが多い。
・Dethex Launcher:グレネードランチャー。球状の弾を地面に射出し、そ
れを操作して敵にぶつける武器。弾数が少なく、威力が高い、至近距離専
用。一部道を開くために使用するぐらいで、持つだけ無駄な武器。
特殊兵器は下記の二種類。特殊武器は通常武器とは別枠の所持になり、武器
の入れ替えを行うと武器を落してしまう。強力な分だけ弾薬補充も難しく、
使い捨て感覚で使用する。
・Seeker Rifle:誘導弾を発射できるライフル。チート武器。発射した弾を
操作して敵に当てる。威力が高くライオットシールドを突き破って倒せる。
・RLS-7:ロケットランチャー。誘導でき高威力。入手できるのはかなり遅
く、使える場面も限られてるのであまり印象に残らない。
というように、使える武器と使えない武器がはっきりとわかれている。フル
改造したアサルトライフルとショットガンを持ってればそれだけで済んだり
する。それ以外の武器についてはプレイヤーの嗜好で選択するといい。
敵はクリーチャーとソ連軍。クリーチャーは素早い敵や透明になる敵、敵を
増やす能力を持つ敵に大型でレーザー攻撃をしてくる敵など様々。クリーチ
ャーへの対応に序盤は苦労するだろう。
ソ連軍は2010年のソ連軍と1955年のソ連軍。2010年のソ連軍はE99の兵器を
所持しており、1955年のソ連軍はカラシニコフを持っている。どちらも通常
のFPSと同じく対応できるので苦労することはない。
ちなみにソ連軍とクリーチャーがマップ上に同居している場合はお互いに戦
闘を始める。ソ連軍人の数にもよるがクリーチャーの方が勝つことが多い。
通常の敵とは別にボスというべき存在が何体か存在する。
ボスは基本的には決まった手順で対応して攻撃していくパズル要素のある戦
闘になる。倒す手順と弱点はわかりやすくなっているので、すぐに対応でき
るようになっており、ボスについても苦労するようなことはないだろう。
なお、このゲームにはラスボスは存在しない。
このゲームはマルチEDを採用している。終盤にプレイヤーは選択を迫られ、
そのときに取った行動によってEDが異なる。別EDを見たい場合はED後にトッ
プメニューからコンテニューを選択すれば、選択を迫られる場面の直前から再
開される。そのため全EDを見るのは容易。
序盤は雰囲気が出ていて、銃のダメージバランスもよく、TMDの能力も消費
が大きいのでそうそう使えない状況で進んでいくのは面白い。しかし、後半
になるにつれ主人公と武器の強化が進むと、敵に囲まれても苦戦せず、TMD
消費のためのゲージが枯渇するというようなことも減るので、敵を倒すこと
が作業化してしまい、ゲーム内の暗く不気味な雰囲気だけが浮いてしまうゲ
ームになってしまっていた。
TMD自体の能力は面白いものがあるが、その能力をもとに解くパズルも種類
が少なく、同じようなことをひたすらさせられるので意味がないものになっ
ている。まだ同じような能力を使用するゲームであるTime Shiftのパズルの
方がマシ。序盤の期待が大きいにも関わらず、後半になるほど面白さが尻す
ぼみしている。
色々とあと一歩進んでいればよりゲームとして面白くなっていただろう作
品だった。戦闘部分はよくはできているので、一定の面白さはあると思う。